「リトラクション/プロトラクション/上方回旋」完全ガイド
専門家が解説!肩甲骨の基本動作「リトラクション/ プロトラクション/上方回旋」完全ガイド
肩甲骨の役割と重要性
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肩甲骨は体幹と上肢をつなぐ「動く土台」。
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背中に浮いたように存在し、17種類の筋肉が付着している。
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動作時には「安定」と「可動性」を同時に担い、腕・
肩の正しい機能を支える。 -
動きが制限されると、肩こり・猫背・インピンジメント(
肩の挟み込み痛)につながる。 -
特に重要な3つの動きが、
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リトラクション(寄せる)
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プロトラクション(押し出す)
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上方回旋(腕を上げるときの回転)
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Scapular Retraction(肩甲骨リトラクション/寄せる)
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動作の定義
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肩甲骨を背骨方向に引き寄せる動き。
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主に僧帽筋中部・下部、菱形筋が働く。
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期待できる効果
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猫背改善:胸郭が開き呼吸もしやすくなる。
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背中の筋力強化:僧帽筋下部を活性化 → 肩こり軽減。
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長時間のデスクワークでも肩・首の疲労が出にくくなる。
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専門的ポイント
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筋電図研究では、
リトラクション時に僧帽筋下部の活動が特に高い。 -
僧帽筋下部が働くと肩甲骨の安定性が増し、
肩の動作効率が向上する。
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Scapular Protraction(肩甲骨プロトラクション/押し出す)
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動作の定義
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肩甲骨を前に滑らせるように押し出す動き。
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主働筋は前鋸筋(Serratus Anterior)。
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期待できる効果
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肩関節の安定化:肋骨にフィットして「肩甲骨の浮き」を防ぐ。
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プッシュ動作(腕立て伏せ・パンチ動作)の強化。
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肩甲骨の滑走性が高まり、肩の違和感を軽減。
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専門的ポイント
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前鋸筋は「ボクサーズマッスル」と呼ばれ、
格闘家や投球動作に必須。 -
機能不全があると「翼状肩甲骨(Winging)」
と呼ばれる肩甲骨の浮き上がりが発生しやすい。 -
多くの肩関節障害者では、
この筋肉が弱化していることが臨床で確認されている。
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Scapular Upward Rotation(肩甲骨上方回旋)
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動作の定義
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腕を頭上に挙げる際、肩甲骨が外上方へ回転する動き。
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僧帽筋上部・下部、前鋸筋が共同で作用する。
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期待できる効果
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オーバーヘッド動作(野球投球・水泳・バレエ)
で肩の動きをスムーズにする。 -
上腕骨と肩甲骨のスペースが広がり、インピンジメント(
挟み込み)予防に有効。 -
可動域が広がることで、
肩を大きく動かすスポーツパフォーマンスが向上。
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専門的ポイント
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研究報告では、肩関節障害のある人は健常者より「
上方回旋の角度が少ない」傾向。 -
適切な上方回旋が確保されないと、
腱板損傷や五十肩のリスクが高まる。 -
「上方回旋の再獲得」
が競技復帰の重要な指標とされる。
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3つの動きを統合する意義
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リトラクション(寄せる) → 姿勢と安定。
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プロトラクション(押し出す) → 肩関節の安定と前鋸筋強化。
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上方回旋(回す) → 可動域の確保とケガ予防。
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どれか1つだけ鍛えるのではなく、バランスが重要。
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3つが連動して働くことで「肩甲骨はがしストレッチ」
の効果は最大化。
まとめ
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肩甲骨は17種類の筋肉に囲まれ、全身運動の中心となるパーツ。
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リトラクション/プロトラクション/
上方回旋の3つを理解すれば、 姿勢改善からスポーツパフォーマンス向上まで幅広い効果が期待で きる。 -
肩こりや猫背改善だけでなく、肩の障害予防にもつながる。
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単なるストレッチではなく「肩甲骨の機能回復」
を意識したアプローチこそ、現代人に必要なセルフケア。
◆監修:山﨑 信治(やまざき しんじ)
中医学博士/ストレッチ専門店「ストレッチの達人®︎」創始者・
整骨院・整体院・
◆専門家プロフィール
臨床経験22年以上、施術実績45,000件以上
筋膜・骨格・経絡を統合した独自施術を開発
施術法の考案者
- 筋膜はがしストレッチ
- 骨盤はがしストレッチ
- 肩甲骨はがしストレッチ
- 頭蓋骨はがしストレッチ
- 肋骨リブート™️/可動域ブースト™️/体軸チューニング™️/
◆ メディア掲載・出演実績
『腰痛に効く!全国治療院ガイド』(主婦の友社)
読売テレビ「すまたん」、TBS「スーパーフライデー」、
雑誌:anan、hanako、SAVVY ほか多数掲載
◆ 指導・施術実績
日本プロ野球投手、日本相撲協会所属力士、プロゴルファー、K-
オリンピック代表選手(体操・レスリング・水泳)
宝塚歌劇団団員、劇団四季ダンサー、俳優・女優 など多数
◆全国拠点
福岡|広島|兵庫|大阪|名古屋|東京|札幌
※公式HP:
https://stretch-